おおたか静流『NOSTALGIA』
- カバーシリーズ『Repeat Performance』等で知られるボイスアーティスト、おおたか静流がテイチクからキングレコードへ移籍し発表した94年作オリジナル・アルバム。
- 以前から彼女の楽曲へ参画してきた福田裕彦が、本作では満を持してほぼ全曲の編曲・半数の作曲を担当。彼なりの遊び心が活きた②④のような曲と、おおたか静流の声の良さを引き出す⑥⑦のような曲、その両方をピュアかつ高い水準で提供できるのが素晴らしい。編曲も得意のテクノから童謡的ポップス、無国籍モノまで幅広い。
- 対するおおたか静流の自作曲も負けず劣らず、友部正人が作詞・歌唱で客演した③、壮大なサビが印象的な⑨など力が入っている。作詞も半・コンセプトアルバムと言える作りで、「懐かしくエキセントリック」というCDジャーナル評がしっくり来る1枚。
1994/10/21 45m キング
- GAIA~はなむけのうた
- な
- ほしのこどもたち
- まいにちがパーティ
- 初潮
- Born To Love
- スキニナリマシタ
- まつり
- Dear Kids
- こもりうた
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宍戸留美『ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド・シ・シ・ド・ル・ミ』
- アイドル、宍戸留美が90年に発表した伝説の1stアルバム。性を問わず誰の心にもある「少女像」を過激に増幅させたような作風で、大胆なフェイクのはずなのに実にリアル……という、不思議な感覚をリスナーにもたらす名盤。
- ほぼ全ての作曲・編曲を、ユニット「生福」等のマルチな活動で知られる福田裕彦が担当。正統派ポップスのデビュー作を押しのけて「地球の危機」がフェードインしてくる①にして、凡百のアイドル作品から一線を画している。乾いたタイトな音色からパンキッシュなバンドサウンドまで、禁じ手なしのサウンドメイキングが耳を楽しませる。
- 福田曲の作詞はパパイヤ・パラノイアの石嶋由美子が担当(石嶋がFAXで送ってきた歌詞に福田が曲をつける形で制作は進んだらしい)。②④⑥⑧⑫のようなブッ飛んだ歌詞から、⑦⑩⑬といったセンチメンタルものまで、その振り幅には感服させられる。そしてその歌詞に「歌わさせられる」ことなく、自らの歌として歌唱しきっている宍戸留美のボーカルセンスも素晴らしい。
1990/10/21 49m ソニー
- コズミック・ランデヴー~地球の危機
- コンビニ天国
- 好き
- ロックの神様
- ピンクのラフレシア
- るみちゃんの危機
- 二人は映画みたいにいかないね
- Panic in my room
- 宇宙の危機
- 君はちっともさえないけど
- るみちゃんのお風邪
- 秘密よDIET
- ハートにリンス
- るみちゃんのおやすみ
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笹野みちる『イノセンス』
- 元・東京少年の笹野みちるが、96年に発表したソロ4作目。前年にレズビアンであることを公言し、著書『Coming OUT!』やアルバム『GIRL MEETS GIRL』を発表するなど精力的な活動を行った彼女だが、本作では一旦そうした活動に距離を置いて笹野流のポップを追求している。
- 作家陣にはソロデビュー時から笹野を支える出雲麻紀子に加え、新たに片桐麻美と種ともこという強力な二者が参加。これまでのアルバムでは笹野が全曲を作詞していたが、提供陣にSSWが増えたこともあり、本作は一部が笹野以外の作詞になっている。片桐麻美の作詞曲による④、種ともこ作詞曲の⑫など、他者作品を歌うシンガー:笹野の優秀さを感じさせる楽曲も多い。
- そして何より嬉しいのが、笹野自身の作詞・作曲に(初期の東京少年を彷彿とさせる)勢いがある点である。⑥の楽曲展開や⑧の作詞などは、まさに笹野の本領発揮という感がある。
1996/8/21 54m ビクター
- 愛に迷っている人へ
- SEXY GAME
- スイッチ
- 君が好き
- さかなのように眠りたい
- わっせわっせ幸せ
- おりておいでよ
- Out of Love
- イノセンス
- 何もなかったように
- おしゃべりタイム
- たまには会おうよ
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さねよしいさ子『うてな』
- リリースしたアルバムの全てが名盤……といって過言ではないさねよしいさ子だが、そんな彼女の作品の中でも特に楽曲のバラエティ・バランス・クオリティの三拍子が揃った93年発表の4作目。フォーライフ期のラスト作でもある。
- ストレートな①・お茶目な⑥⑦・カバーの⑨・壮大な⑫……どの切り口でも楽曲が「さねよし節」になるのは、相変わらず流石の一言。加えて本作はアブストラクトなスケッチ(⑤⑧⑩⑪)を他作より多めに収録しており、彼女のボーカリスト・コンポーザーとしての引き出しをより堪能できる1枚になっている。編曲はデビュー時から引き続き栗原正己を中心とした「さねよしバンド」がメインで担当。息ピッタリの仕事ぶりで、③の急展開など聴きどころも多い。
- それにしても彼女の他の追随を許さない、個性的なボーカルスタイルには圧倒させられる。歌の崩し方や、崩したところからの戻し方がドンピシャである。本当に歌が上手くなければこんな歌い方はできない。
1993/2/19 53m フォーライフ
- 2人で描こう夜空いっぱいのハート
- 哲学少年
- いとことふたりで
- ガールズ ビート ハート
- いたずら書き<1>
- マルコじいさん
- パパとアンチョビ
- いたずら書き<2>
- オーシャンゼリゼ
- つめたい水
- あじさいの花の真ん中で
- 子供の十字軍
- うてなのありか
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- アーティスト: さねよしいさ子
- 出版社/メーカー: フォーライフ ミュージックエンタテイメント
- 発売日: 1993/02/19
- メディア: CD
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SAKURA『SAKURA』
斉藤美和子『タイム・ミシン』
- タンゴ・ヨーロッパの「ニャンコ」としてデビュー。86年からソロ活動を開始。その後作詞家として「さいとうみわこ」「さいとういんこ」等の名義で活動する彼女が、メジャーデビュー後の89年にインディーズ期の楽曲をコンパイルした2ndアルバム。
- 録音・ミックス等はインディーズゆえに甘い部分もあるが、それが「味」と思えるのは楽曲のクオリティが高いから。特に元FILMS:赤城忠治の手がけた③④⑦は名曲で、メジャーのお膳立てが無いが故のキラメキがある。また⑨は1stアルバムにも収録の名曲だが、本作は作曲者である沖山優司が編曲も努めたオリジナル版が収録されている。
1989/12/21 49m 徳間ジャパン
- WINTER WINK
- サヨナラの景色
- NEGATIVE HEART
- ハイヒール
- KISS!
- Brother
- 恋人はいつでも
- 12のガーネット
- ロンリー・スターダスト・ダンス
- 恋のダイヤル6700
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花岡幸代『金のりぼん』
- アニメ『クッキングパパ』の後期ED「HANDS」でも知られるシンガーソングライター:花岡幸代が91年に発表した1stアルバム。 デビュー以前にパーソナリティを担当していたラジオ番組で毎週新曲を発表するなど、叩き上げられたソングライティング能力がストレートに発揮された1枚。
- 同時代の女性シンガーには珍しく、全編で基調となっているのはフォーク。時代の忙しなさとは無縁の、染み入る楽曲が耳に心地よい。編曲もアコースティック中心だが、プロデュースを手がけた岡田徹(MOONRIDERS)による細やかなアレンジで退屈感は無い。
- 凛とした声に説得力がある②、明と暗を行き来するコード進行が巧みな④、綺羅びやかなサウンドが視界を切り開く⑥、小品ながら引き締まった⑩などを収録。 ほぼ全曲が花岡による作詞作曲だが、③のみ(なんとあの)キャロル・キング(!)が楽曲を提供している。
1991/5/21 40m キングレコード
- 夢のしっぽ
- 人
- 銀色のバイク
- 空
- 夜のブローチ
- 子供達へ送るメッセージ
- 風景
- 止まった時計
- すみれ
- 心配しないで
- 別れた人へ
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