鶴田加奈子『Cosmic Cherry』
- ドラムを叩きながら歌うライブスタイルで、現在は沢田茅乃とのツインボーカル・バンド「#01.A.1948」で活動する鶴田加奈子が96年に発表した唯一のソロアルバム。ロックといっても「ロック風味」のものが多いGiRLPOP界において、珍しく「ちゃんとロック」している1枚。
- 編曲は最多の6曲を担当した西脇辰弥を中心に、山内薫・西川進などが参加。ギターロックを主軸としつつも、展開のメリハリがある点に好感を覚える。作曲面では「Yoshi Mihara」名義でも知られるジャズ・ギタリスト:三原淑治による③⑦⑩が良ポップで安定感○。
1996/12/21 38m キングレコード
- Q・P ロック
- できることもできないこともやってみなきゃわからない
- 恋するチェリーパイ
- 君はニャーニャーニャー
- Baby, good night
- すみれ畑 Smile
- 僕だけのMoon Rabbit
- Go-Go. Drivin' Go
- バンキャルトのテーマ
- Miracle Power
その他のアルバムはこちらから
坪倉唯子『Loving You』
- 85年のレコードデビュー後、様々なミュージシャンのバックコーラスでも活躍していた坪倉唯子が、同年にB.B.クイーンズのボーカリストとして「おどるポンポコリン」を大ヒットさせる直前に発表した2ndアルバム。
- シンセベースの連打が気持ち良い明石昌夫編曲の②、坪倉のバックボーンである洋楽嗜好が強く出た本人作曲の④などを収録。また⑤は亜蘭知子が85年に、⑦は土方降行が80年に発表した楽曲のカバーである。 編曲名義の多くはM-Project(ビーイング関連の頻出クレジット)だが、青山純や伊藤広規が参加するなど楽曲の強度は総じて高い。
1990/3/21 44m ビクター
- Sunshine Blue
- Shooting Star
- 365の夜と昼
- Heaven In My Heart
- Taxi-Driver
- 刹那
- Let Your Love Grow
- Blue Moonにまにあえば
- Like A CINEMA
その他のアルバムはこちらから
古内東子『Hourglass』
- 93年に現役女子大生シンガソングライターとしてデビュー後、徐々にソウル・R&B的な方向へ楽曲をシフトさせてきた古内東子が96年に発表した5thアルバム。次作『恋』と並び、90年代半ばの古内東子黄金時代を代表する1枚。
- 全10曲中、①〜③⑨⑩の5曲が同年にオリジナル・ラブを脱退した小松秀行プロデュースによる国内録音、残り④〜⑧の5曲がモータウンの伝説的ドラマー:James Gadsonをプロデューサーに迎えたL.A.録音となっている。単に聴き流すだけでも気持ち良い偶数曲と、パンチのある奇数曲が交互に現れる構成で、アルバム全体にメリハリがある。
- 詞・曲・編・演の4要素が満ち満ちている名曲①を筆頭に、佐野康夫・小松秀行のヘヴィなグルーヴが腹に来る③、これぞ真骨頂!な⑤⑦⑨など名曲揃い。恋という事象を語彙力豊かに拡張させ、狭い関係性から普遍的な世界へアクセスするソングライティングは流石の一言。
1996/6/20 45m ソニー
- いつかきっと
- 誰より好きなのに (Album Remix)
- ルール
- 心を全部くれるまで
- かわいくなりたい
- おしえてよ
- ユラユラ
- 置き去りの約束
- あの日のふたり(Album Remix)
- 星空
その他のアルバムはこちらから
種ともこ『オ・ハ・ヨ』
- デビュー以来続いた武部聡志とのタッグを解消し、プロデュース・編曲を自ら担当した転機の4thアルバム。ジャケットへ掲げた「All Songs Performed by Tomoko Tane」に偽りなく、詩・曲・アレンジの有機的な組み合わせが堪能できる1枚。
- 各曲のキャッチーさ・展開の良さもさることながら、それらの曲を頭から通して聴いた際の、アルバムとしての繋がりが特筆モノ。1曲目からラストまで、ついつい聞き続けてしまうし、引き込まれてしまう。アフリカを歌う⑧・日本の正月を歌う⑨という一見驚く曲の並びも、特に違和感なくすんなり聴けてしまうのが象徴的である。
- 個性豊かな楽曲が並ぶ一方で、各曲に一貫した「種ともこ”らしさ”」が見て取れるのも素晴らしい。「曲の個性」と「作曲家の個性」は別モノであり、両者のバランスをとるのは意外と難しいのだが、本作はその難題を見事にクリアしている。
1989/3/1 45m ソニー
- The Morning Dew
- オ・ハ・ヨ
- ゲンキ力爆弾
- 時間延長のシンデレラ
- Triangle On The Pavement
- Had Enough
- INITIALISE
- 光合成・アフリカ
- 謹賀新年
- 戦争気分でPicnic
- KI・REI
その他のアルバムはこちらから
Tamao『Talking Marimba』
- The BOOM・ZELDA・ZABADAK・原マスミ等をサポートし、近年ではBank Bandにも参加していた女性パーカッショニスト:藤井珠緒が「Tamao」名義で95年に発表した歌ものミニアルバム。自身のルーツであるマリンバを主軸に、小さな日常から遥かなリゾートまでを表現した1枚。
- 全体的に脱力系の歌声・サウンドながら、楽曲の展開が豊かなため聴き応えがある。特にマリンバが持つ緩急・自由・ダイナミクスといった特性を咀嚼し、楽曲に落とし込んだ原マスミ作詞の②が白眉。またリゾートポップスの④、宮沢和史の作詞が素晴らしい⑤ も佳曲である。
1995/1/1 19m バイオスフィア
- 小さな幸せ
- 上の空
- ネコと休日
- 秘密の楽園パパウビーチ
- 夏が終わる
その他のアルバムはこちらから
渡辺真知子『TAHIBALI 〜タヒバリ〜』
- 1977年にデビューし、ニューミュージック・シーンの中で数々のヒット曲をとばしたシンガーソングライター:渡辺真知子が、活動休止・米国留学を経て2年半ぶりに発表した12thアルバム。ド派手なジャケが物語るように、 従来の作風とは一線を画すラテンアメリカ趣味が全開となった1枚。
- 全編曲を笹路正徳が担当。フュージョン畑のミュージシャンを多く起用し、理想郷としてのラテン・アメリカを音楽的に上手く落とし込んでいる。現地の本物のラテンとは異なるものだが、日本でしか成立しえない和製疑似ラテンとしては高い完成度。Francis Silvaのコーラスにも味がある。
- 渡辺の作曲は従来からの歌謡曲センスを活かしつつ、ラテン的な意匠を取り入れることで 鮮度をキープ。大山潤子による作詞も素晴らしい名曲②をはじめ、①③⑨での展開など聴き所は多い。また⑥⑦は神保彰が作曲を担当しており、アルバムのカラーにおあつらえ向きな好曲である。
1990/3/1 42m ソニー
- TAHIBALI
- GOSTE DE SAMBA
- コハウ・ロンゴロンゴ -ものいう樹-
- Overseas Call
- Seagull
- BETTERFLY FISH
- VAMOS CANTER
- LOVEBIRD
- 夢をわたる鳥たち
- いつものように
その他のアルバムはこちらから
小桜エツ子『それでいいのだ』
- 近年では『妖怪ウォッチ』でジバニャン役を担当するなど、活躍を続ける小桜エツ子(現:小桜エツコ)が96年に発表した1stアルバム。90年代パイオニアLDCの声優・アニメ関連楽曲といえば枯堂夏子だが、そんな彼女のプロデュース・作詞ワークスの中でもピカイチの輝きを誇る名盤。
- 枯堂流の人間讃歌と言える③⑦、キャチーながら深みのある⑤⑧など……ブックレットの文章も含めて「モノ言う作詞家」枯堂の才気には思わず感動してしまう。サウンド面についても「歌はもっと豊かだったはずだ」をテーマに、キダ・タローによるスウィング・ジャズ②、B.B.ワヤンによるハワイアン⑤、黄丹儀による香港メロディ⑥など多種多様な楽曲を収録している。
- 声優としても幼い子供・動物役が多い小桜だが、その歌声は純粋ゆえに聴き手の心へストレートに届く。昨今の高品質なアニソンに慣れた耳では野暮ったく聴こえる部分もあるが、それも含めてダイヤモンドの原石である。
1996/7/24 41m パイオニア
- 不器用じゃなきゃ恋はできない(Marvelous Arrange)
- わたしの彼はすし職人
- 99人の敵
- からくち恋愛指南
- おもちゃの看護婦
- だれも好きにならずにいよう
- ガマンは毒
- シンデレラの手口
- BOYS BE FREE!
- かえろうよ
その他のアルバムはこちらから