福島祐子『時の記憶』
- 多数の劇伴を手がけ、CHICABOOMへの参加などキューバ音楽にも関わりの深い作編曲家、福島祐子が1991年に発表した全曲歌モノの1stアルバム。New Age的なミステリアスの空気感を維持しつつも、雰囲気だけで終わらせない彼女の実力・センスが随所にほとばしる1枚。
- ウィスパーボイスの繊細さと、デジタルサウンドの大胆さ。たおやかで整合性の取れた部分と、ノイジーで緊張感のある部分……相反する要素がうまく共存した良盤である。全曲を聴き終えた後の「不思議な酩酊感(ブックレットのライナーより引用)」は緩急の美によるものか。
- また本作は単なる「和テイスト」とも異なる「古都」感……1000年前の日本的イメージのシミュレートを散りばめることで、ミステリアスを獲得している点が秀逸である。彼女の作詞にもある種の「和歌」感があり、音の一つ一つに丁寧に言葉が置かれている。
1991/10/21 54m ヴァージン
- 桜舞い
- Sensitive Heart
- ひめた想い
- 平安栄華
- 逢いたい
- MIKO
- 天球の音楽
- 雪
- Army Grief
- 夏のよるの夢
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